お気楽読書のススメ

おすすめの本

思い出トランプ(向田邦子)見えない病(チャールズ・ハート)パディントン発4時50分(アガサ・クリスティー)ホタルの歌( 原田一美)大誘拐(天藤真)モモ(ミヒャエル・エンデ)ニングル(倉本聡)点と線(松本清張)ブンとフン(井上ひさし)

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最近読んだ本エンターテイメントな読書ミスマープル


おすすめ度について
おすすめの本として紹介しているものですので、どれもこれもおすすめです。差がつきにくいので かなりきびしめの5段階評価にしてありますが★1つだからといって面白くないわけでは ないので誤解なさいませんよう。

思い出トランプ

新潮文庫/向田邦子著

浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。 おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。 毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。 やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など 日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、 ずるさ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。
直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。 (紹介文を引用)

おすすめ度★★★★☆
この本には、ちょっと疲れた中年が登場する。 どこにでもいる、欠点もあるが、そこそこ人生に満足している、 そんな風に見える中年が人生を回想してゆく物語である。
だが、ありきたりの枠には決してはまっていない。 こう言ってしまうとと失礼に当たるのかもしれないが、 若造には逆立ちしたって書けない老練な文章である。 人生の深淵を覗いてしまったような気分になる、一筋縄では いかない短編がこの本にはいっぱいに詰まっている。
読んでいると、平凡で単調な繰り返しに満ちた自分の 日常までが違った目で見えてくるから不思議である。
向田邦子という著者の目は、暖かくて鋭い。 日常に埋没していた真実を決して逃さず捉えてくる。


見えない病

晶文社/チャールズ・ハート著

おすすめ度★★★★☆
自閉症の子供を持った親の手記的な小説。 自閉症の兄を持ったことでいろいろと不都合を 感じていた彼は、家を出ることで兄との関わりを捨て、幸せな結婚をした。 しかし、子供が自閉症だったことで、この病気と向き合わざるを得なくなる。
自閉症というと、何らかの原因で幼少期に心に深い傷を負った場合に なりやすいと考えられがちだが、実際には、遺伝が深く 関わっている病気なのだ。この本は小説でありながら自閉症についての 最適の理解書になっている。また、意識しなくても、小説の世界に 引き込まれていくように構成されており、小説としての完成度も高い。

パディントン発4時50分

ハヤカワミステリ文庫/アガサ・クリスティー著

おすすめ度:★★★★☆
パディントン発4時50分の列車に乗りこんだマクギリカディ夫人は 信じられないものを見た。並走する列車のブラインドがはね上がった瞬間、 夫人が見たのは並走する列車の中で男が女の首を絞めている光景だった。 しかし、車掌や警察に連絡しても、車内から死体は出てこない。 死体はどこへいったのか。
クリスティと言えばポアロが有名だが、これはミスマープルの活躍する作品。 マープルものは冊数が比較的少なく、短編に至るまで全て探し当てて読んでもそれほど 時間はかからない。やさしそうな外見で オールドミスらしく人の噂話をしていながら、実は鋭い観察力で人間を見ているミスマープル。 ミスマープルはポアロのように派手な活躍は見せてくれないが、ピンク色の頬を した老婦人が編み物をしながら、鋭い観察力で事件の謎を解き明かしていく様は見事です。
この本の最初では殺人があったのかどうかすら分かりません。死体を捜すところから始まる 推理小説もめずらしいですが、パーフェクト家政婦ルーシー・アイレスバロウの活躍で ぐいぐい最後まで引っ張っていってもらえます。派手なトリックは つかわれていませんが、私は、ルーシーのファンなのでおすすめの一冊にしました。 一家に一人ルーシー・アイレスバロウ。ルーシーがいればすべて解決。ついでに殺人事件も 解決ですもの(笑)
ルーシーの恋の行方にも注目。クラッケンソープ家の子供たちも大活躍です(笑)。 ちなみに私は、マープルの責任の感じ方がとても好きです。マクギリカディ夫人に あなたはじぶんにできることはきちんとやったわと言っておいて、自分にもちこまれた 事件に対して自分にできることを考えるところとか。『ポケットにライ麦を』での 登場シーンでのセリフもだから好きなのです。
マープル物のおすすめは他に『ポケットにライ麦を』『スリーピング・マーダー』 『予告殺人』『鏡は横にひび割れて』など。ポアロ物はいっぱいありすぎて選ぶのが 大変ですが『オリエント急行の殺人』が一押しです。
ホタルの歌〜動物の記録 1〜
原田一美/著 学研

おすすめ度:★★★☆☆
とんでもなくマイナーな本ですが、お勧めです。売れないのでしょうか、ハードカバーなのに 税抜き850円という発売当時の信じられない価格で売られてます。特に小学生に読んでほしい本です。 どうか絶版にはならないでほしい。
まわりにいっぱい自然があって、こういう小学校生活がおくれれば、人生は もっと豊かになる気がします。今の小学生は時間に追われてかわいそうです。
蛍のことなら何でも分かりますが、図鑑や単なる観察日記ではありません。徳島の山あいの小学校の 先生が教え子達と一緒になってホタルのことを知っていく物語(ノンフィクション)です。 すばらしいホタルの乱舞を見て感動した子どもたちと先生はホタルの研究を始めます。 しかし、ホタルについて書かれた本を探しても、数行の記述が見つかる程度。先生だって研究を始めた 当初はホタルのことなんて何にも知りません。まさに手探りでのスタート。四苦八苦しながら ホタルについて研究するうちに子どもたちが徐々に前向きになっていきます。親も村も巻きこんで 続けられた3年間の研究の成果が発表される後半部分のエピソードには涙もろい人ならほろりとすること 請け合いです。
第1回学研児童ノンフィクション文学賞受賞。昭和47年度読書感想文コンクール課題図書。


大誘拐
創元推理文庫 天藤真
おすすめ度:★★★★★
困ったことに、一番手に入れやすいはずの角川文庫版が絶版になってます。世間の皆さんはこんなに 面白い本の存在をなぜ知らないのでしょう。読み出したら読み終わるまで眠れない怒涛の数時間を 過ごすことを保証できる貴重な一冊なのに・・・。岡本喜八監督の手による映画もおすすめ。 北林谷栄、樹木希林、天本英世などの配役がいい味を出してます。若手の主役にベテランが揃った脇役 という配役からもなんとなくストーリーがうかがえますね(笑)。
なによりも、誘拐されたはずの柳川とし子刀自の言動がおもしろい。自分の命の値段が そんな安いはずはないと身代金を吊り上げる人質なんて前代未聞。しかもその額100億円。 そんな大金、どうやって受け取るのか。刀自の真意は?
刀自の腹心くーちゃんの大奥様のためならどこまでものつっぱしりぶりや、鬼刑事から東京と 名づけられた新米刑事の情けなさなど脇役のキャラクターも光って、とにかく本当に面白いうえに ちょっとハートウォーミングな物語。ぜひ読んでください。
三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を 洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で 知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の 当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が 始まる!第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。(照会文から引用)


モモ
ミヒャエル・エンデ/作 大島かおり/訳 岩波書店

おすすめ度:★★★★☆
ミヒャエル・エンデといえば、「ネバーエンディングストーリ(果てしない物語)」が 有名ですが、わたしは『モモ』を押します。 子どもだけに読ませておくには勿体ない名作、というか、現代人を風刺した物語 なので、大人にこそおすすめです。なお、モモも映画化されています。
とある町外れの原っぱにモモという少女が住んでいました。どこからやってきたのか誰も知らず、 親がいる様子もなく、歳もわかりません。それでも、話をきくことのうまいモモは みんなに好かれていました。モモはなにも言わないのに、モモに話をきいてもらっていると 心が和んでくるのです。ちょうどそのころ、街に灰色の男たちがやってくるようになりました。 子供たちにかわいらしい人形をくれる男たちは時間貯蓄銀行の社員でした。
やがて、街の人たちが様子が変わっていきます。街の人たちは灰色の男たちに時間をうばわれ、 せかせか働くようになってしまったのです。そして、街の人たちは時間に追われるうちに だんだん怒りっぽくなってしまいました。灰色の男たちは時間どろぼうだったのです。 独りぼっちになってしまったモモは、みんなの盗まれた時間を取り戻すため立ち向かいます。


ニングル
倉本聡/著:理論社

おすすめ度:★★★★☆
倉本聡渾身の一作。中学生の頃だったか、憑かれたように読み、読み終えてぐったりしたのを 覚えています。読み終えると実際にニングルがいるような気になってくるから不思議 (ノンフィクションに分類されるのもうなずける)。 森の先住民ニングル(小人)と著者との交流のなかで、環境のすばらしさを伝える作品なのですが、 メルヘンチックな話ではなく一筋縄ではいかないです。ニングルたちは人間の侵略に対し 「知らん権利」「放っとく義務」を主張する。なかなか興味深い習慣を持ったニングルたちは 与勇輝さんの人形で「森のニングルが消えた星」としてCMにもなりました。なお、続編なのか ■『ニングルの森』という童話も出ているらしいです。
富良野市麓郷の奥に広がる樹海に伝説の小人ニングルたちの社会がある。彼らは森林破壊や情報氾濫の現代社会に警告しているという。(照会文から引用)


点と線
新潮文庫松本清張/著

おすすめ度:★★★★☆
時刻表トリックの名作。あまりに有名すぎて紹介する必要を 感じないのですが、日本の推理小説ではじめて面白いと思った本です。現在氾濫しているミステリィから 考えるととってもシンプル。ただ、アリバイ崩し系なので仕方ないのですが読むのに頭を使います。 頭がクリアなときにお読みください。
舞台は昭和三十年代。 福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある 某省課長補佐と料亭の女中。青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察ではありふれた 心中事件と考えた。しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。 うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。そのアリバイは鉄壁だった■(Bitway-books照会文から引用)


ブンとフン
新潮文庫 井上ひさし

おすすめ度:★★★★☆
『ひょっこりひょうたん島』『国語元年』もいいのですが、これは確実に笑えます。 奇想天外と言うか奇抜奇天烈と言うか、脚本家ならではのユーモラスな展開がとにかくおもしろい。 一応、児童文学になってますが、大人にもおすすめ。気の重いときに読んでほしい。
「ブンとは何者か。ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、 なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく…」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒 ブンが小説から飛び出した!たちまち全世界に、奇怪なしかしユーモラスな事件が……。 あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。現代戯作の旗手、 井上ひさしの処女作。(照会文から引用)


最近読んだ本

兄弟

なかにし礼 文藝春秋

作詞家なかにし礼の自伝的小説。「兄さんお願いだから死んでくれ」というタイトルで ドラマ化され、ビートたけしと豊川悦が兄弟を演じた。単行本の帯には 「私が書いたたくさんの歌は全てこの小説のためだったような気がする」と著者の コメントが書かれている。
無軌道で自堕落な兄とそれに翻弄される著者である弟。終戦後に帰ってきた兄は 人が変わっていた。兄はどうして変わってしまったのか。なぜそういう生き方を してしまうのか。一時は米軍の通訳を務めていたのだから、まじめに働けば人並みに 暮らしていけるはずなのに。兄は戦争で何も失わなかった友人たちに復讐するかのように 事業に挑んでは破産する。兄は生き残った特攻隊だという。人生のどん底に落ちて 「墜落しないと意味がないようなそんな感じだな」、とそう言う兄。 「俺の命の一緒に世界を破滅させてやるんだとな。それでこそ完璧な墜落なんだ」 しかし、兄の人生は嘘に彩られていた。兄の本音とはなんだったのか。 死の間際に何を考えたのか。弟が自分の中にそれを問いかけていく物語だ。 石狩挽歌の詩が物語と重なって哀しい。
著者はその愛情の全てを母親に捧げ、兄はそのおこぼれに与っている。 母のために妻を離婚し、兄のために稼く弟。弟の建てた家で家長として 威張りちらし賭け事をする兄。普通の人では稼げないほどの金額を手に 入れながら兄の借金のためにどん底まで落ちてしまった著者は、ただ 母を幸せにしたい一心だったのだろう。だが、他に方法はなかったのだろうかと 切ない気持になる。お金のためにと母は金歯をその老いた手ではずすのだ。 母はいったい幸せに暮らせたのだろうか。そして、私は影の薄い離婚された 先妻と子どもに感情を移入してしまった。2003.10.8
作詞家として活躍する著者のもとへ、十六年間絶縁状態だった 兄の死の報せが届いた―。胸中によみがえる兄の姿。敗戦後に故郷小樽で再会した 復員帰りの兄は、どこか人が変っていた。以来、破滅的に生きる兄に翻弄され、 苦渋を強いられた弟が、兄の実像と兄弟のどうしようもない絆を、哀切の念をこめて 描いた記念碑的傑作。(照会文から引用)


まだふみもみず 檀ふみ
 檀ふみがエッセイを書くと知ったのは『ああ言えばこう食う』(阿川佐和子・檀ふみ共著)を 読んでからだった。このエッセイは笑いなしには読むことができない。二人のやり取りが 絶妙なのである。(最近このコンビでエコナの宣伝に出ているが、この宣伝を作った人は エッセイの愛読者ではなかろうか。)第二弾の『ああ言えばこう嫁×行く』も当然読んだが、 飽き足らない。
 あのテイストを求めて阿川佐和子作品と檀ふみ作品を捜し求めた。阿川佐和子作品は たくさんあったので無事読み漁ることができたが、檀ふみのエッセイは私の知る限り 2冊しかない。『ありがとうございません』と本書である。『まだふみもみず』は最近 文庫落ちしており、早速読んでみた。

 タイトルや章題のセンスもよく、どの話もテンポよく楽しく読めた。特にお勧めなのは旅の章だ。 海外旅行はトラブルもまたたのしいが、檀さんの旅は面白いものに満ち満ちているように思える。 どうやったらそんなに器用に泥棒に会えるのかわからないが、寝ながらもしっかりと肩にかけていた バッグが盗まれた話やトラベラーズチェックの話はとても面白く読んだ。
 さくさくと読めてしまったので、なんとなく名残惜しい気もする。檀さんの次のエッセイに 出会えるまでいったいどのぐらい待てばいいのかしら。2003.9.18

大好きなイギリス、初舞台を踏んだオーストラリア、赤毛のアンのカナダなど 外国での異文化体験。正月、節分、日本ならではの四季の喜び。誰にも言えなかった恋の話。 能古島での父・檀一雄との別れ・・・。振り返るたびに顔が赤くなる、でもどこか切ない「出会いと 別れ」の思い出をしっとりと、ユーモラスに描く好評エッセイ。 (照会文から引用)



墨攻 酒見賢一著
春秋戦国時代の諸子百家の中で、兵法を説いた孫子と墨子、どう違うのかなぁと 思っていたので、個人的に興味深く読みました。孫子はいろいろな本が出てますが 墨子は歴史の授業でキーワードに触れたぐらい。そのキーワードも「兼愛非攻」と 兵法家なのに「愛」なんて文字を使っているところが胡散臭いと思っていましたが、 この本を読んで、墨者の思想、生態(?)がわかりました。
タイトルには「攻」という文字が使われているが、実際には墨者は「守」のみで、 攻めることはしない。小国のために無報酬で働いて、身なりや食事には質素。 ・・・と、ここまでは聖人のようだが、規則違反には死をもって厳しく罰する。
すべてに対する拘りなき「博愛」を説きながら、やっているのは戦争なのだから そのギャップがあまりにも大きく、本を読んでも胡散臭さは抜けなかった。墨者が 教団と称されるのもその特異な思想、行動に理由があるのだろう。
大軍勢の敵に囲まれた小城をいかにして守るかという話なので、弱いものが強いものに 向かっていくという醍醐味を味わえる。城攻め自体のおもしろさもあるが、さまざまな 攻略に対し、革離が絶妙に対処していくテンポのよさは、読み始めるととまらない。 短い話のなかに内容がぎゅっと凝縮されているような印象だと思っていたら、 コミックでは11巻なのだそうだ。

蛇足ながら、テレビで「雲のように 風のように」というアニメ(これが案外面白かった)をみて、この原作本である 「後宮小説」を見たのが酒井氏の本を読んだ初めになる。「後宮小説」、アニメとは またテイストが違うが(ちょっとアダルト)、なかなかお勧めです。2003.8.20

戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとす る国国を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国 ・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、 城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか (照会文から引用)

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