倫子(ともこ)の不吉な予感は現実となっていた。 千佳(ちか)はすでに失跡していたのだ。 (私の言葉が足りなかったのか、それとも心が。 両親や無二の親友の瑞穂(みずほ)にさえ言うにはつらすぎたことを 話してくれたのは、私の中に同じ痛みを見たからに違いない) ”千佳は生きている!立ち直って帰ってくる” 倫子はそう信じたかった。 北国の女子学園を舞台に、繊細で感性ゆたかな少女たちの 愛と友情を描く書き下ろし長編! (紹介文を引用) |
主な登場人物:
宮崎碧(みどり)/蔀瑞穂 (しとみみずほ)/樹田徹子(ジュダ)
香月倫子(ともこ)/ 伊藤柊吾(しゅうご)/S・ペトラ/塚田千佳
S・ロザリア/塚田悠介/大野由子/香月高志/加山宏行
カット:金本京子
ISBN4-08-610235-8
本体価格291円
1978年10月20日に集英社から出版されている。
氷室さんが大学卒業の年に書かれたものです。 氷室さんの初期の作品は、「さようならアルルカン」「シンデレラ迷宮」に 代表されるように、思春期の心理を扱ったものが多くあります。この作品も そうなのですが、中心人物の千佳は失踪してしまい、姿を現しません。失踪の 原因はなんなのか、なぜ倫子には話したのか。謎の中から、少しずつ見えて くる千佳のまわりの人間関係。暗いテーマを扱いながら読者に希望を失わせない 、そんな話になっています。中高生に読んでもらいたい作品です。
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