12国記の謎


王は麒麟によって選ばれる。

・王とは何か、なぜ王が必要なのか
・王が選ばれる基準は何か
・王気はいつ発生するのか
・王はいつから王なのか。天勅を受けないと王ではないのか
・王候補者は王になることを断ることができるのか
・同姓の王が続けて選ばれることがないのはなぜか
・王がその国で生まれた者でなければならないのはなぜか
 

麒麟
麒麟は、蓬山で生まれる。麒麟は王を選ぶ。

・麒麟とは何か
・霊獣・妖というのは、神や妖魔とはどう違うのか
・麒麟の角とは何か
・麒麟が血に弱いのはなぜか。

神仙
真の神は決して人と接触しない。

・天帝とは何か。実在するのか
・なぜ人とは接触しないのか
・天仙にはどうやってなるのか
・伯位を超える仙に与えられる特免の特権とはなにか。
神と仙の違い
天に属す仙はどこの戸籍に属すか

妖魔
妖魔は自らを語らない。

・妖魔とは何か。
・妖魔はこの世界の理に属すのか。
・神話に出てこないのはなぜか
・妖魔は卵果から生まれるのか、それとも生殖で増えるのか
・天帝が九州四夷を滅ぼす前からいたのか
・荒れた国に湧いてくるのはなぜか
・なぜ虚海をわたれるのか
・麒麟の位置がわかるのはなぜか
・使令とは何か折伏とはなにか
・妖魔はどうして言葉を解するのか
・妖魔はなぜ五山に近い黄海にいるのか

海客・山客

・海客山客の生まれるわけ
・なぜ卵果は虚海をわたれるのか
・海客や山客の逆がないのはなぜ

半獣

・半麟とは何か
・なぜ二形を持つのか

女怪

・女怪とは何か。
・自分の仔でもない麒麟になぜ愛情を持つのか
・なぜ碧霞玄君にはわからない麒麟の性別がわかるのか

12国世界

・天綱に違反したことを知るシステムは
・昇山は必要か。妖魔のいる黄海を超える必要があるのか
・王が道を失うとなぜ国が荒れるのか。
・荒れた状態、荒れていない状態どちらが正常なのか
・翻訳できない言葉はどう訳されるのか
・蝕とは何か、なぜおきるのか
・御璽でしかできないことは
・宝重とはなにか
・里木とは何か。
・なぜ他国のものとは婚姻できないのか
・なぜ親は同じ里の婚姻した夫婦でなくてはならないのか
・卵果とは何か。なぜ血のつながりを徹底的に排しているのか。
・崇山、華山、霍山、恒山の役割は何か
・雲海があるのはなぜか


 王が選ばれる理由は家系でも容姿でも性格でもない、性別、
年齢も関係ない。麒麟が選ぶかどうかということだけだ。
その一方、同姓の王が続けて立つ事はできないこと、王はその
国の生まれでなくてはならないことという制限がある。前半の
条件のこだわりのなさに比べ、後半の条件の厳格なこと、不思
議には思わないだろうか。
血統
容姿
性別
 血統、容姿及び性別は、統治者としての有能さには関係
がない。これによる選別の排除は有能な人材の輩出を制限
しないこと、名君の芽を摘まないという意味で有効だ。

性格
 性格は統治者として重要な要素だ。国一つ引っ張ってい
く王の性格が優柔不断ではおさまりが悪い。短気、思い込
みの激しさなど統治者としてあまりプラスといえない性格
もある。ここで問題となる性格は統治にマイナスとなる性
格のみなので、個性までを否定するわけではないが、統治
者にはそれなりの人格が求められるのではないだろうか。
 マイナスとなる性格は選別しており、マイナスとはなら
ない性格については選別の対象としないという意味である
可能性もあるが、だとすれば、「性格は関係ない」と言い
切る必要はない。慶国の前王は王に向いた性格ではなかっ
たし、蓬莱での陽子も「八方美人」で人の意見に流されて
おり王に相応しい性格だったとはいえない。ここはやはり
「全ての性格を不問とする」と考えるべきだろう。
年齢
 年齢は普通統治者の能力を裏打ちする経験や判断能力に
かかわってくると思われる。珠晶のように幼くても立派に
国を運営できる場合もありえるが、あれは幸運な例外であ
る。幼くても有能である王のみを選別していると果たして
言えるだろうか。巧国の王は幼くこそなかったが、有能で
あっただろうか。幼くても王として有能な者を選ぶなどと
いう発想が果たして天にあるのだろうか。
同姓
 同姓の王が立てないということについては、血統主義の
排除に似た役割を果たしているようにも思える。十二国の
「同姓」が蓬莱の「家」に代わるものとして似た役割を負
っているからだ。しかしそもそも王が選ばれる理由に家系
が入らないのなら選ばれない理由としても家系を入れるべ
きではない。十二国世界は親が子の職業を世襲するわけで
はないのだから、蓬莱のように世襲をもって地位を正当化
することは難しい以上、それほど神経質に同姓を排除する
必要があるのか疑問を感じる。しかも、黄姑の例のように
同じ血筋であっても同姓でなければ王になれるのだ。易姓
革命をなぞらえてはいるが、これを理由に正当化できると
は考えがたい。
出身
 王がその国の生まれでなくてはならないというのもおか
しな話だ。「王」と「官吏」で比較すると疑問点が如実に
浮き上がる。他国の国籍を入手し官吏になることは可能で
あるのに対し、王は、必ずその国の生まれである必要があ
るのである。どの国の生まれであれ、国籍をもち有能でさ
えあれば、登用することがマイナスになるとは考えにくい。
それなのに、王だけは頑なにその国の生まれでなければな
らないというのには何か理由があるはずだ。
 「現王と同姓のものは王になれないこと」「生国でしか王に
なれないこと」この2点の制約はどちらも本人の力ではどうし
ようもない「生まれ」にかかわっている。血統(生まれ)によ
る差別を否定しておきながらほかの「生まれ」で制限をつける
という矛盾をどう考えればいいのか。これは、システム上そう
せざるを得ないための矛盾なのではないだろうか。
胎果
 王の選別の条件について考えるとき、もう一点注目した
いのが蓬莱、崑崙生まれの「胎果」の存在だ。
 胎果か否かは「生まれ」あるいは「育ち」の要素である
ため、胎果であるからといって王になれないというのは公
平でないが蓬莱または崑崙にいる胎果をつかまえて、まっ
たく知らない世界の王になれというのも胎果にとっては不
幸な話だ。今までの世界と切り離されて故郷を喪失し、ま
ったく違う常識の中に放り込まれるわけだから。 

 しかも、胎果の王には、統治に不利な条件がある。虚海
のかなたに生まれた場合、麒麟が迎えに行く必要があり、
登極が困難であること。胎果は12国世界について知識がな
く、王の主な仕事である法の制定について不利であること。
 それでも胎果の王は生まれてくる以上、そこには何らか
の意味があるのだろう。

 胎果については、もう一つ問題がある。天はどうやって
胎果の王を選び王気を与えたのかということだ。「蝕」と
いう天の理にないものによって天の条理(天帝の支配)の
外に運び出された胎果を天が見守っているとは考えがたい。
天が見て選んでいるならば、玉女碧霞玄君が泰麒の居場所
を各国の麒麟に依頼し探してもらう必要はなかったはずだ。

 私の説はこうだ。
☆ここから先ネタバレ(?)ゾーン☆

ネ  含  可
タ  ん  能
バ  で  性
レ  い  あ
を  る  り
☆文字は背景と同じ黒に設定してあります。☆
☆ドラックで選択してご覧ください☆


 私の説はこうだ。「生まれる前から王は決まっているのではな
いか」。こう考えれば性格、育ち、年齢にあまり重点を置かな
い理由が見えてくる。王になるための制約が2つとも「生まれ
」に関わっているのもしっくりくるではないか。

 ここに、覿面の罪というシステムがある。王が他国を侵略す
ることを防ぐシステムだが、王師が国境を越えることで王は天
命を失い即座に絶命する。他国からの侵略を防ぐためには効果
的だが、麒麟失道の期間をおかず理由一切を斟酌しないため、
難民を救うために兵を出した遵帝は非業の登遐をとげている。
逆に陽子が雁国にいるという体裁さえ整えば尚隆の指示によっ
て王師が慶国の国境を越えても罰は発動されない。このあまり
にも形式的なシステムについて六太は、「(罰を下す人間は必
ずしも必要ない。天勅を受けた)そのときに、王と宰輔の身体
の中に、条理が仕込まれた、と考えることもできる」と言って
いる。

 そのように個々の事情を判断することなく罰を下すのならば、
王を選ぶときにいちいち王に相応しい人間を判断しなくてもよ
さそうだ。陽子が「(王が全て名君になる資質をもっている)
ならどうして慶国が荒れる?」「たとえ素質はあっても資質を
生かしていくことが難しいからじゃないか」と言っているが、
王はあくまでも、名君になる「資質」を持っているのであって、
はじめから名君が選ばれるわけではないのだ。

 一方で麒麟の失道システムが働いており、暗君は短い治世し
かできないため、暗君が選ばれた影響はある程度で食い止めら
れる。麒麟の生命を保険として、最低限の保証があるのだ。だ
とすれば、誰が王になっても構わないのではないか。誰が王に
なるにしろ、名君であれば永い治世が約束されるため、民は長
く平穏な日々を暮らすことが可能になる。逆にどんな傍若無人
の限りを尽くす王も、麒麟が失道すれば、遠くない将来身罷る
こととなる。それならば、生まれるときから王が決まっていて
もそれほどの不都合はないのではないか。そもそも人は生まれ
たときにはあらゆる可能性を持っているものだ。名君になる可
能性だって持っている。実際なれるかどうかはまた別だが・・・。

 12国の世界の人間は全て卵果を通じて生まれてくる。誕生に
生母を介在させていないため、天は卵果に「王気の種」を仕込
む機会を持っている。胎果であっても必ず卵果であった時期が
あるため胎果から王気が感じられる理屈も立つ。

 ただし、この説にははじめから大きな問題がある。王候補が
同時代に複数存在することになるからである。才国采王黄姑の
存在も問題を複雑にする。黄姑は前王より年上であり、生まれ
る前から王が決まっているとすれば、どうして麒麟は黄姑では
なく前王を選んだのかという疑問が生じてしまうからである。
これに関しては、はっきりした回答は出せないが、王気に強弱
があって麒麟には強い王気しか感じられないとか、あるいは近
い王気しか感じられないとかという可能性もある。黄姑は昇山
せず、前王は昇山したわけで、前王のほうが斎麟により近い場
所にいたのだから。また、泰麒ははじめの内は恐ろしいもの(
この場合は泰王)がやってくるという予感を感じていなかった
のだから、少なくとも即位前の王気はそれほどはっきりした物
ではなく漠然としか感じ取れないのではないかと思われる。天
勅時に王は確定してしまうのだから、そのときに他の王候補の
王気を感じられなくようにしておけばいい。


 
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